住宅購入を考え始めると、まず気になるのが「結局いくら貯金があれば買えるのか」ではないでしょうか。
多くの方は「頭金は物件価格の2割」という話を耳にして、貯金がまだ足りないと感じているかもしれません。
ですが、住宅購入に必要なお金は、物件価格と頭金だけで決まるものではありません。
購入時にかかる諸費用、引っ越しや家具家電の入居費用、そして購入後の生活を守るために手元に残しておくお金まで含めて、はじめて資金計画と呼べます。
私自身も20代で中古マンションを購入し、宅地建物取引士・FP2級としての知見も持っています。
自分の経験も交えながら、実務的な視点でお伝えします。
この記事では、次の内容を解説します。
- 住宅購入に必要な資金の内訳
- 20代で住宅を購入する際の頭金の考え方
- 4,000万円の住宅を購入する場合の資金シミュレーション
- 購入後に残しておきたい資金
- 住宅ローン借入額の考え方
- 20代で実際に住宅を購入した私の資金計画
結論から言うと、住宅購入に必要な現金は「頭金+諸費用+入居費用」を基本に考え、さらに購入後の生活防衛資金を別に確保しておく必要があります。
必要な金額は住宅価格や家計によって大きく変わるため、「20代なら○万円」と一律に決められるものではありません。
結論|住宅購入資金は「購入に必要な費用」と「購入後に残すお金」を分けて考える
住宅購入に必要な総資金を最初に把握する
住宅購入にかかるお金は、次の3つに分けて考えます。
購入に必要な費用=物件価格+購入諸費用+入居費用
これとは別に、購入後も生活を維持するために「手元に残す資金」を確保しておく必要があります。
さらに、購入時に自己資金として用意する現金は、次のように整理できます。
購入時に必要な現金=頭金+購入諸費用+入居費用
物件価格だけを見て予算を組むと、契約直前になって現金が足りないという事態になりかねません。
住宅ローンですべてをまかなえるとは限らず、金融機関や商品によっては、手付金や諸費用の一部などで自己資金が必要になるケースがあります。
さらに、入居後の生活費や不測の事態に備える資金がなければ、新NISAなどの資産形成も止まってしまいます。
例えば3,500万円の中古マンションを購入する場合の資金イメージは、次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 3,500万円 |
| 購入諸費用 | 約245万円 |
| 入居費用 | 約100万円 |
| 購入に必要な費用(合計) | 約3,845万円 |
| 購入後も残す生活防衛資金 | 約150万円 |
このケースでは、頭金を0円にした場合でも、諸費用・入居費用・生活防衛資金を合わせて約500万円の現金を確保する計算になります。
ただし、これはあくまで今回の前提での試算です。住宅価格や物件種別、諸費用を住宅ローンに含められるかどうかによって、必要な現金は変わります。
住宅購入に必要なお金は大きく4つ
①住宅そのものの購入価格
いちばんイメージしやすいのが、物件本体の売買価格です。
住宅ローンで賄う部分の中心はここになります。
②購入時にかかる諸費用
仲介手数料、登記費用、印紙税、住宅ローンの融資事務手数料、火災保険料などが含まれます。
物件の種類によって割合は変わりますが、目安は次の通りです。
| 住宅の種類 | 諸費用の目安 | 3,000万円購入時の目安額 |
|---|---|---|
| 新築マンション | 3〜5% | 約90万〜150万円 |
| 新築一戸建て(建売) | 6〜9% | 約180万〜270万円 |
| 中古住宅(戸建て・マンション) | 6〜10% | 約180万〜300万円 |
| 注文住宅(土地取得+建築) | 総額の10〜12%程度 | 約300万〜360万円 |
中古住宅は仲介手数料がかかる分、新築マンション(多くは売主直販)より諸費用の割合が高くなりやすい傾向があります。
仲介手数料の上限は法律で「(売買価格×3%+6万円)+消費税」と定められており、4,000万円の物件であれば最大で約138.6万円(税込)になる計算です。
なお、引き渡し時にすべての支払いが完了したと思いがちですが、入居後数ヶ月から1年ほどして不動産取得税の納付通知が届きます。
一定の要件を満たすと軽減措置がありますが、忘れずに現金を残しておきたい費用です。
住宅購入の諸費用については、住宅購入の諸費用はいくら?の記事で詳しく解説しています。
③引っ越し・家具・家電などの入居費用
意外と見落としがちなのが、入居時にかかる費用です。
すべて新調する必要はありませんが、引っ越し費用と合わせて100万円前後は見ておくと安心です。
④購入後も手元に残しておくお金
生活防衛資金と呼ばれるお金です。
病気やケガ、転職、育児休業による収入減など、想定外の事態に備えるための資金にあたります。
必要な金額は家族構成や毎月の生活費によって異なりますが、例えば毎月の生活費が25万円であれば、6ヶ月分で150万円という考え方ができます。
重要なのは「20代だから○万円」と一律に決めることではなく、自分の生活費から必要額を計算することです。
この資金まで頭金や諸費用に使い切ってしまうと、購入後の家計に余裕がなくなり、新NISAなどの資産形成も続けにくくなります。
20代の住宅購入資金はいくら用意すればいい?
頭金はいくら必要?
結論として、頭金に絶対的な正解はありません。
住宅購入に必要な現金は、住宅価格・物件種別・頭金の額・諸費用・入居費用・購入後に残す資金によって大きく変わります。
「20代なら○万円必要」と一律に考えるのではなく、自分の家計から必要額を逆算することが大切です(後述の4,000万円のシミュレーションで具体的に見ていきます)。
「頭金は物件価格の2割」という目安を見かけることもありますが、頭金の割合だけで購入の可否を判断するのではなく、手元資金・毎月の返済額・将来の支出などを総合的に考えることが重要です。
頭金の考え方については、住宅ローンの頭金はいくら必要?でさらに詳しく整理しています。
諸費用はいくら必要?
前述の通り、物件価格の6〜10%程度(中古の場合)が目安です。
3,000万円の中古住宅であれば180万〜300万円程度、現金で用意する必要があります。
購入後の生活資金はいくら残す?
前述の通り、生活防衛資金は毎月の生活費の3〜6ヶ月分を目安に、自分の生活費から計算する考え方がおすすめです。
年収や手取り額は世帯構成やボーナスの有無によって差が大きいため、「平均年収から一律に月○万円」と当てはめるより、実際の毎月の支出額をもとに考える方が実態に合いやすくなります。
住宅購入資金の具体例|4,000万円の住宅ならいくら必要?
ここでは、4,000万円の物件を例に、頭金の金額別に必要な現金と毎月の返済額を比較してみます。
※以下は、35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・金利1.0%と仮定した、この記事独自の試算です。実際の返済額は金融機関や借入条件によって異なります。
諸費用280万円+入居費用100万円+生活防衛資金150万円=現金530万円(頭金以外に必要な現金)という、この記事独自の前提で計算しています。
| 比較項目 | ケース①頭金0円 | ケース②頭金500万円 | ケース③頭金1,000万円 |
|---|---|---|---|
| 住宅ローン借入額 | 4,000万円 | 3,500万円 | 3,000万円 |
| 購入時に必要な現金総額 | 約530万円 | 約1,030万円 | 約1,530万円 |
| 毎月の返済額(金利1.0%・35年) | 約112,914円 | 約98,800円 | 約84,686円 |
| 35年間の総利息額 | 約742.4万円 | 約649.6万円 | 約556.8万円 |
ケース①頭金をほとんど入れない場合
手元の現金を残しやすい一方、月々の返済額と総利息は最も大きくなります。
生活防衛資金や運用資金を厚めに確保したい場合に選ばれる考え方です。
ケース②頭金500万円を入れる場合
現金の負担と返済額のバランスを取りやすい水準です。
ケース③頭金1,000万円を入れる場合
利息の軽減効果は大きいものの、購入時にまとまった現金が必要になります。
20代でこの水準の現金を用意できるケースは、決して多くはありません。
頭金として使ったお金は、後から引き出すことができません。
頭金を多く入れることで住宅ローンの利息負担を抑えられる一方、手元資金を残しておけば、急な支出への対応や資産形成などに使えるメリットがあります。
ただし、NISAでの運用には元本割れの可能性があるため、「住宅ローン金利より投資の期待リターンが高いからNISAを優先する」と単純に判断するのは避けるべきです。
住宅購入資金は「貯金額」だけで決めてはいけない
年収・手取り収入
貯金が多くても、年収に見合わない借入をすれば家計は苦しくなります。
逆に貯金が少なくても、無理のない返済計画であれば安全に返していけます。
現在の家賃
持ち家では、住宅ローンの返済額に加えて管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税などの費用が上乗せされます。これらは専有面積や築年数、地域によって差が大きいため、購入を検討している物件の実際の金額で確認することが大切です。
「今の家賃と同じ返済額なら大丈夫」と考えると、実際の住居費負担を見誤ることがあります。
住宅ローン返済額
無理なく返せる金額は、家計の中で住居費が占める割合(住居費率)で考えるとイメージしやすくなります。
「手取りの20〜25%」という目安を見かけることもありますが、この数字だけで決めるのではなく、管理費・修繕積立金・固定資産税なども含めた住居費全体を家計に入れて確認することが大切です。
将来のライフイベント
結婚、出産、教育費、転職など、20代はライフイベントの変化が大きい時期です。
購入時点の収入だけでなく、数年先の変化も見込んで計画を立てておきたいところです。
NISAなどの資産形成
住宅購入後も新NISAなどの積立を止めずに続けられるかどうかは、資金計画を立てるうえで重要な判断軸です。
住居費が高すぎて資産形成が止まってしまうと、老後資金や教育資金づくりに影響が出てしまいます。
住宅購入資金を決める5ステップ
住宅探しから始めるのではなく、まず自分の家計を確認するところから始めることをおすすめします。
STEP1 現在の貯金額を確認する
STEP2 購入後も残しておく生活防衛資金を決める
STEP3 住宅購入に使える現金を算出する
STEP1からSTEP2を差し引いた金額が、購入に使える現金の上限です。
STEP4 諸費用・入居費用を見積もる
物件価格の6〜10%程度を目安に、諸費用と入居費用の合計を見積もります。
STEP5 住宅ローン借入額・住宅価格を逆算する
STEP3からSTEP4を差し引いた残りが、頭金に回せる金額です。
これをもとに、無理なく返せる毎月の返済額から借入額、そして物件価格を逆算していきます。
先に物件を探し始めると、希望条件や見た目に予算が引っ張られ、金融機関が提示する「借りられる限界額」で契約しがちです。
家計を先に確認しておくことで、購入後の資金不足を防ぎやすくなります。
住宅ローンはいくら借りればいい?
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は違う
例えばフラット35では、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という総返済負担率の基準があります。
ただし、これはあくまで融資の審査・利用条件に関する基準であり、「その割合なら無理なく生活できる」という意味ではありません。金融機関によって基準も異なります。
自分の家計ではどこまで住居費を負担できるかは、審査基準とは別に考える必要があります。
毎月の返済額から考える
家計に無理のない返済額から、逆算して借入額を決める方が現実的です。
住宅ローン控除を受けられる期間や条件については、住宅ローン控除とは?で詳しく解説しています。
金利上昇も考える
借入額3,500万円(35年返済)の場合、金利が1.0%から2.0%に上がると、毎月の返済額はおよそ98,800円から115,552円まで、約1.7万円増える計算になります。
変動金利を選ぶ場合は、「金利が上がっても家計が耐えられるか」を事前に確認しておくと安心です。
自分に合った金利タイプの選び方は、住宅ローンは変動金利と固定金利どっち?で解説しています。
住宅ローン以外の住宅費も考える
管理費・修繕積立金・固定資産税など、ローン以外にかかる住居費も含めて、無理のない範囲かどうかを確認しましょう。
住宅ローンを組む前に確認しておきたいポイントは、住宅ローンを組む前に確認すべき7つのポイントにまとめています。
20代で住宅を購入するときに注意したい5つのポイント
①貯金を使い切らない
購入時にすべての貯金を使ってしまうと、購入後の家計に余裕がなくなります。
②頭金を入れすぎない
利息を減らしたい気持ちは分かりますが、手元の現金がなくなりすぎると、急な出費に対応できなくなります。
③借入可能額の上限で物件を決めない
審査に通る金額と、無理なく返せる金額は別物です。
④購入後のライフイベントを考える
結婚、出産、転職など、数年先の変化も見込んでおきましょう。
⑤資産形成も止めない
住宅購入をゴールにせず、購入後もNISAなどでの資産形成を続けられる家計を目指すことが大切です。
私が20代で住宅を購入したときの資金計画
ここからは私自身の体験です。一つの事例として参考にしていただければと思います。
中古マンションを購入した理由
私が住宅を購入したのは、結婚のタイミングでした。
たまたま出ていた駅近の中古マンションが、相場よりも割安な価格で売りに出ていたことがきっかけです(事故物件などの特殊事情があったわけではありません)。
決め手になったのは、将来手放すことになった場合のリセールのしやすさでした。
当時の私は、駅距離や購入価格などから、将来的にも売却しやすいのではないかと考えました。
頭金を入れなかった理由
頭金はゼロで、仲介手数料やリフォーム費用も含めて住宅ローンを借り入れました。
手元資金として用意したのは、契約時の手付金100万円のみです。
同じマンション内で、間取りや築年数が近い別の部屋の売出価格と比較すると、私が購入した物件は約500万円ほど安く買えたことになります。
この価格差があったからこそ頭金ゼロという選択ができたと考えていて、誰にでも再現できるやり方ではないと認識しています。
住宅購入時に実際にかかった費用
購入時にかかった諸費用の内訳は、次の通りでした。
- 仲介手数料:約126万円
- 登録免許税:約15万円
- 司法書士報酬:約10万円
- 火災保険・地震保険:約15万円
- 融資事務手数料(定率型):約90万円
これらは仲介手数料やリフォーム費用も含めて住宅ローンに組み込む形で借り入れています。
融資事務手数料は定率型を選び、その分の金利優遇を受けられる契約内容でした。
団体信用生命保険込みでも、当時としては低い金利水準で借り入れられたタイミングだったことも、この選択を後押ししました。
借入から2〜3年経った今は、当初より金利が上昇し、毎月の返済額も5,000円以上増えています。
このあたりの経緯は、住宅ローンは変動金利と固定金利どっち?でも詳しく触れています。
購入後もNISAを続けるために考えたこと
以前の都内賃貸時代の家賃と、現在の住宅ローン返済額はほぼ同じ水準です。
そのため、郊外の物件に住み替えた後も、新NISAに回せる金額は変わっていません。
私の場合は住宅ローン控除の適用期間が10年間のため、この期間はあえて繰上返済をせず、流動性や長期的な資産形成も含めて判断し、積立を優先する方針を取っています。控除期間や借入限度額は入居年や住宅性能によって異なるため、自分の契約条件を確認しておくことをおすすめします。
反省点があるとすれば、中古物件だったこともあり、購入後にリフォームをしたいと感じる箇所が出てきて、費用が当初の想定より膨らんだことです。
固定金利との比較が不足していたと感じる部分もあり、この点はもう少し検討してもよかったと思っています。
住宅購入と資産形成を両立するために考えたいこと
住宅購入後もNISAを継続できるか
住宅購入と新NISAでの資産形成は、どちらか一方を選ぶものではありません。
「住宅ローン返済+NISA積立額+基本生活費」が手取り収入の範囲に収まるかどうかを、購入前にシミュレーションしておくことが大切です。
住宅ローンと投資のバランス
余裕資金ができたときに、全額を繰上返済に回すのか、NISAの積立に回すのかは、家庭ごとに判断が分かれるところです。
金利水準や運用リターンは変動するため、どちらか一方が常に正解というわけではありません。
流動性を保ちながら、無理のない配分を考えていく視点が役立ちます。
繰上返済とNISAの優先順位については、住宅ローンの繰上げ返済はするべき?NISAとどっちを優先?、住宅ローンがあっても新NISAはやるべき?でそれぞれ詳しく解説しています。
住宅購入後の家計をシミュレーションする
購入前に、住居費(ローン返済+管理費+税金)、NISA積立額、生活費、予備費のバランスを一度書き出してみることをおすすめします。
数字として可視化しておくと、購入後にどのくらいの余裕があるかがイメージしやすくなります。
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まとめ|住宅購入資金は「買える金額」ではなく「買った後も暮らせる金額」で考える
住宅購入資金は、物件価格だけでなく、諸費用・入居費用・購入後に残す生活防衛資金まで含めて考える必要があります。
頭金は多ければ良いというものではなく、手元資金や毎月の返済額、将来のライフイベント、資産形成とのバランスから決めるものです。
大切なのは、金融機関から「いくら借りられるか」ではなく、「購入後も無理なく暮らし、資産形成を続けられるか」という視点で、物件価格を逆算することです。
住宅購入は人生のゴールではなく、新しい生活のスタートです。
自分の家計に合った資金計画を立てて、購入後も安心して暮らせる住まい選びをしていただければと思います。


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